「世界をつなぐ人」に
必要なのは何だろう。
ひとりの人間の知性を、一本の樹木にたとえてみましょう。地中に張り巡らされた根は、世界を把握するのに必要な、さまざまな学問の基礎的な知識と方法論、そして母語以外の言葉を理解する基本的能力。この根から吸収される養分が専門分野という幹を育てます。しかしその幹を、太く高くするためには、枝葉を発達させる必要があります。現在のグローバル社会が直面する種々の問題は、ひとつの専門分野で解決できるものではありません。
たとえば「環境問題」ひとつとっても、サイエンス、テクノロジだけでなく、経済、政治など社会科学、哲学や歴史をはじめとする人文諸学など、幅広い専門知が動員されねばなりません。もちろん、ひとりの人間がすべてをマスタすることは不可能ですが、他分野の専門知へとアクセスし、コミュニケションをとる能力は身につけることができるはずです。
枝葉であるこの能力、いわば高度な教養を発達させることが、現実社会に実践的に関わることができる知の樹木を形成するとも言えるでしょう。ひとりひとりの知性が、その個性を保持しながら大きく育つ環境であり続けること。そのために上智大学は、常にさまざまな試み、改革を続けています。