暮らしに大きな変革をもたらす研究で社会貢献に寄与できる喜びを実感

石野 隼一

理工学部 機能創造理工学科 2012年度卒業
理工学専攻博士前期課程 電気・電子工学領域 2014年度修了

私が研究している「有機EL」は従来とは異なる有機材料を用いて作られた発光素子です。発光素子にもいろいろあり、ノーベル賞受賞で話題になったLEDもその一種ですが、大きな違いは、有機ELはフレキシブル化・高画質化・高効率化が可能なところです。言い換えれば、曲げられて、鮮やかな色が出せて、面発光できるということになります。つまり、ディスプレイや照明、ウェアラブル端末などの開発に貢献でき、日常生活から医療まで幅広い分野での応用が期待されるのです。課題はコストダウンと寿命ですが、スマートフォンではすでに画面に採用されており、私たちが恩恵を受けるまであと一歩です。この研究の面白いところは、モノづくりに没頭できる点です。自分の手で有機ELを作り、新たな機能や仕組みを提案することにチームで挑戦しました。ときには、必要となる装置も設計から開発するなど想定外の経験もしました。また、2013年には国際シンポジウム「EM-NANO2013」で研究内容を発表する機会もあり、学会への参加や論文の読み込みなどには、中学校時代のアメリカ滞在時に得た英語力を上智で維持できたことが役立ちました。就職先ではSEとして社内向けのシステム構築を担当します。開発装置を自作した際に、仲間に喜んでもらえたことがやりがいにつながったので、似た経験が重ねられると思い選びました。もともと研究を続ける気持ちよりも、研究活動で学んだ何かを社会で役立てたい気持ちが強かったので、異なる分でも抵抗はありません。SEの勉強も入社してから始めるつもりです。有機ELの研究も、まったく知識のないところからスタートしたので、新しい環境に物おじせずに、しっかり進むべき方向を自分で照らしていけばいいと思っています。