・氏名:後藤貴行・ごとうたかゆき・Takayuki Goto
・専門分野:低温物性実験
・研究内容:
超伝導や磁気転移など、物質が低温で引き起こす多くの奇妙な現象は、すべて物質の中の電子の働きによるものです。私の研究室ではNMRとμSRという二つの実験手段を使って、物質の中の電子が作る磁場や電場を見ることで、これらの現象が極低温で発生するメカニズムを明らかにしようとしています。
研究対象は、低次元量子磁性体ですが、特に「スピンギャップ」と呼ばれる状態に着目しています。この状態では量子スピンゆらぎのために、いくら温度を下げても秩序化しません。そこでギャップを潰すような強磁場を加えると、未知の電子状態が出現する可能性が指摘されています。
金属を絶対零度近傍まで冷却した時の基底状態は、意外なことにこれまで僅か数種類知られているに過ぎません。すなわちフェルミ流体、磁気秩序状態、超伝導の三つであり、この三つが現代文明を支えて来たと言っても過言ではありません。物理学にとって次世代に向けての基礎研究は、さらに新しい基底状態の探索に尽きます。それも、超伝導を凌ぐインパクトのあるものでなければなりません。そのような新しい基底状態は、一朝一夕に見つかるものではありませんが、私はそういう夢を描いて研究を進めています。
・研究室WebサイトURL: www.ph.sophia.ac.jp/~goto-ken